昨年8月末から12月中旬にかけて、
というセルフ企画をやりました。
僕は去年の5月ごろまでずっと、フリーランスでWEBやグラフィックのデザインのお仕事をしてきました。
WEBのお仕事はフリーランスになる前からずっと携わってきたんですが、ここ数年はちょっとWEBデザインに飽きてきていたのと、新しく出続ける技術の進歩を追うのがしんどくなってきていたというのが実情でした。
なので以前から憧れのあった、イラストをお仕事にするということに挑戦してみようかと思い立ったのです。
ところがいざポートフォリオを作って営業しようとしても、「作品数があまりない」、「イラストの質が低い」、「イラストのタッチが定まっていない」などの問題が浮き彫りになってきました。
さらにイラストを描こうにも、あまり習慣化されていなかったのでお尻が重い重い。
そんなわけで僕は自分に鞭打つべく、「100日間、何が何でも毎日1枚(寝るまでに)イラストを描いてSNSにアップする」という100日イラストの企画を始めたのです。
100日間のイラストの変化
100日イラストの開始時の目的は以下の通りでした。
- イラストを描くことを習慣化する
- イラストの上達
- ポートフォリオに載せるための作品数を増やす
- 定まっていないイラストのタッチを定める
結果はどうだったかを、だいぶ期間が開いてしまいましたが今から振り返ってみます。
イラストを描くことは習慣化されたか?
当然のことながら100日イラストをやっている期間は、イラストを描くことが習慣になっていました。
ただ、100日を終わってもずっと続く習慣になったか?と言われれば、完全にNOでした。
期間が終わってから約1ヶ月は、仕事が急に忙しくなったこともあり、ぐっとイラストを描く時間が減ってしまいました。
イラストは上達したか?
個人的にはあまりしなかった気がします。
100日の最初のほうでもそれなりに良いイラストが描けていたこともあったし、100日の終わりの方でも下手なイラストはありました。下手なイラストを描く頻度が減ったかと言われれば、そうとも言えない気がしますし。
あとで触れますが、この後お仕事でイラストを描いた時のほうが、100日イラストの期間よりもよっぽど上達した実感がありました。
作品数は増えたか?
作品数は当然のことながら増えました。
100枚もイラストを描くと、「これはポートフォリオには載せたくないな」というものも描いてしまいます。
というか、今見てもポートフォリオに載せて鑑賞に耐えうるものは、100枚の中でも一握りです。
ただ、100日イラストを始める前にポートフォリオを作ろうとした時に、今までに描いたイラストをかき集めてみても(まともなものが)20枚ぐらいしかなかったので、その100枚の中の「良く描けた」イラストたちを加えることができるのは大きな進歩でした。
イラストのタッチは定まったか?
これが一番と言っていいほど大きな目標でしたが、結果的には定まりませんでした(笑)
ただ、100枚を描く中でめちゃくちゃタッチがブレまくったせいで、
「好きだけど苦手なタッチ」と「(比較的)得意なタッチ」、「反応が良いタッチ」などがだんだんと分かってきました。
「こんなイラストが描きたい」という憧れは憧れのままで置いておいたほうが良い場合もあるということを学べたのが、大きな進歩でした。
100日イラストを描いた後に起こった出来事
やりきったことで、少し自信がついた
出来事というか内面的な変化なのですが、単純に自分で決めたことを途中で投げ出さずにやり遂げたということに対して、自信がつきました。
はっきり言って100日の間にはしんどくてしんどくて、休みたくてたまらない日もありました。
それでも途中で諦めず、100日やり切ったことは褒めてあげたいです。
地元の企業や、東京の大手出版社からイラストの依頼がきた
そして、100日イラストの直接の目的にはしていませんでしたが、心の底で一番望んでいたことが、少しだけ実現しました。
SNSで100日イラストを見ていただいていた地元の企業様から、100日が終了して割とすぐに「WEBコラム用のカットイラストを描いてください」とお声がけをいただいたのです。
そして100日イラストから約2ヶ月後、今度はマイナビ出版様から海外配布向けのフリーペーパーの特集ページ(10P)のイラストを丸々担当してくださいというご依頼をいただくこともできました。
このフリーペーパーは既に発行され、見本も届いたのでポートフォリオサイトに実績としてアップしています。
https://illust.tomoakikitagawa.com/mynavi-chinyu-nihon
さらにその約3ヶ月後にはポートフォリオ経由で、これまた東京の誰もが知っている出版社様から、7月に発売となる書籍のカットイラスト(見開き6P)作成の依頼をいただくことができました。
ペースはあまり早くはないですが、徐々に実績となるお仕事をいただくことができたのは、紛れもなく100日イラストのお陰だったと言えるでしょう。
100日イラストはおすすめか
じゃあ最後に、「駆け出しで実績もオリジナルの作品数も少ないイラストレーターは、皆んなこの100日イラストをやった方が良いのか?」ということについて考えを述べておきます。
100日イラストには価値があるが、もっと価値のあることもある
僕自身の体験として、100日間毎日1枚イラストを描くことで、イラストで生活したいという夢に、少しですが近づくことができたと思います。
100日イラストで、ポートフォリオに載せられる作品も増えましたし、運良くお仕事のお声がけもいただきました。
ただ、100日イラストをやってみて、問題点もあるなと気づきました。
100日イラストの問題点はずばり、柔軟性に欠けることです。「何がなんでも寝るまでに1枚イラストを仕上げてアップしなければならない」というルールを守ることが最優先となってしまうので、例えば「1枚描くのに数日かかるような凝ったイラストが描けない」という問題が出てきたりもするでしょう。
イラストの上達には、時間がかかっても自分の実力以上のイラストに挑戦し続けなければいけません。自分のできる範囲で100枚描いてもあまり上達はしにくいです。
もしイラストの上達が最重要目標なのであれば、1日という縛りはマイナスに働く可能性のほうが高いので、例えば「3日で1枚」や「1週間で1枚」などにしたほうが良いと思います。
とは言えやっぱり実体験として、得られたことも大きいなと思うので、もしこの記事を読んで「自分もやってみようかな…」と思った方は、ぜひチャレンジしてみてください。
きっと何かしら素晴らしい発見が待っていると思います。