みなさんはいらなくなったものをヤフオクやメルカリに出品する時に、どのようにして写真を撮っていますか?
最近では会社で直販サイトを持っているところも多いので、そこで販売する商品の撮影を任されたりする方も多いかも知れません。ネットで様々なものを売りに出すことが容易になったこの時代、商品の写真を撮る機会も増えてきていると言えるでしょう。
ところが実際に写真を撮ってみると、思ったように撮れないこともなかなか多いもの。
「なんとなく写真が素人っぽい」、「一眼レフを使っているのに何故か暗く写ってしまう」など、綺麗に写真を撮ることは意外に難しいものです。ですがいくつかの工夫をすれば、簡単にプロのような商品写真が撮れるようになるのです。
バウンス撮影
今回ご紹介するテクニックは『バウンス』と呼ばれるものです。
バウンスという言葉は元々英語で「はずむ、バウンドする」といった意味なのですが、写真撮影においては「ストロボ(フラッシュ)の光を直接当てず、天井や壁に反射させてから当てる」手法のことを『バウンス撮影』と呼びます。
なぜ直接ストロボ(フラッシュ)の光を直接当てないかと言うと、くっきりとした影や強めのハイライトができてしまうからです。一度光を天井や壁に反射させることにより、被写体にやわらかい光を当てることが可能になります。
それでは実際に、身近にあるものを使ってバウンス撮影をしてみましょう。
3分で完成!自作ディフューザー
用意するものはたった2つだけです。名刺サイズの厚紙と、ハサミ。
名刺サイズの厚紙を用意したら、片側の2つの角をえぐるようにカットし、以下のような形にします。
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綺麗にカットする必要はまったくありませんが、1つだけ重要なポイントがあります。
細くなっている部分の幅を、約2cmにすることです。
カットができたら、ハサミで入れた「くびれ」がちょうど終わるあたりを折り曲げます。
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そして2cm幅にした部分を、一眼レフの一番てっぺんにある「銀色の金具の溝」に差し込みます。
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はい、たったこれだけで『バウンス』する装置の出来上がりです。
厚紙を買ってきたとしても100円程度で済んでしまいます。
ちなみにこのバウンスする装置のことを『ディフューザー』と呼びます。
画用紙1枚で簡易背景
それからもう一点大事なものを作ります。商品写真の「背景」です。
作ると言ってもこちらは特に切ったり貼ったりという作業は要りません。
文房具店で少し大きめの画用紙を買ってきて、バインダーか何か(何でもOKです)にクリップで留め、下の写真のように「なだらかに」垂らすだけです。
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様々な光で撮影してみた
ここに被写体を置いて、まずはフラッシュを使わずに撮影してみます。
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なるほど、背景はとても自然な白一色になりました。
ただ、やはりフラッシュを使わないとどうしても暗くなってしまいます。
それでは一眼レフカメラの内蔵フラッシュを直接被写体に当ててみるとどうでしょうか?
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良い感じの明るさにはなりました。
しかし、少し「真正面から光を当ててます感」が出てしまいます。
右の商品を見てみると、真正面から当てた光が真後ろ方向に影を作ってしまっています。
では最後に先ほど作ったディフューザーを使ってみます。
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どうでしょう、直接フラッシュを当てた写真と比べ、より自然な光に近い感じになっているのではないでしょうか。自然な光とはすなわち、色んな方向から反射してきた光が当たっている状態です。
このように、自作の簡易ディフューザーと背景セットを使うだけで、あなたの商品写真はグッと綺麗で自然なものとなります。
広角/望遠によるゆがみの変化
せっかくなのでもう1つ、写真撮影のテクニックをご紹介します。
下2つは同じボックスティッシュの写真なのですが、1枚目は少し歪んだ形に写っているのに対し、2枚目は直方体の辺と辺が平行に見えます。
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実は少し歪んで見える方の写真はカメラのズームレンズを一番広角側にして撮影したもので、逆に辺が平行に見える方の写真はカメラのズームレンズを一番望遠側にし、少し遠めから撮影したものなのです。
このように、レンズを望遠側にして撮影すると、商品の形をより正確に捉えることができるのです。
広角側の歪んだ写真も特に不自然ではありませんので、商品写真として使用することに問題はありません。しかし、商品の形状を正確に伝える必要がある場合は望遠側で撮影した方が「ゆがみの少ない」写真となるでしょう。
こういった「ゆがみの少ない」写真の撮り方は、特にメーカーが自社商品の宣材写真を撮る時などに用いられます。
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実際に辺に沿ってラインを引いてみると一目瞭然ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ちょっとした工夫で、プロがスタジオで撮影したような雰囲気の写真になることがお解りいただけたのではないかと思います(本当のプロのスタジオ撮影はもちろんもっとたくさんの機材を使い、細かいセッティングをすることで素晴らしいクオリティに仕上げています)。
こうした写真撮影の方法ひとつで意外にも商品の売れ行きが変わってくることもあるので、覚えていて損はないテクニックだと思います。
他にも自然光を利用した撮影方法など、様々なテクニックがありますが、そちらはまた別の機会にご紹介したいと思います。